STYLE TALK: 07

My Rule forWINTER STYLE

featuringYoko Matsui

スタイルのある人に聞く3つのルール Vol.7

冬の着こなし、松井陽子さんの場合。

STYLE TALK

2021.12.17

Photo: Kousuke Matsuki
Edit&Text: Naoko Monzen

アウターは毎シーズン買い換える

「真摯に向き合ってつくられたものに心が動かされます。服もそう。デザイナーさんの情熱=パッションを感じる服が好き。そういうものは、纏うほどに自分に寄り添ってくれますし、力のあるものは自分をより高めてくれるから。年齢を重ねるごとにより深く実感しているのが、陶芸家の故・河井寛次郎さんの『物買ってくる 自分買ってくる』という言葉。つくづく深い言葉だなと思います。ものを新たに買うことに真剣になりますし、自分が使うもの、身につけるものに対しても、真面目に向き合うようになりました」

「実際的なところでいうと、肌ざわりだったり暖かさだったり、着心地のよいものを選ぶようにしています。歳を重ねるにつれて、そういう本質的な部分がごまかせなくなってしまって。そういう意味で、このベストはとても上質で着心地のいいアイテム。私、寒さがとても苦手なんです。冬の寒い日は、身も心もきゅっと縮こまってしまうから。だから、うっとりするようなふわふわの質感、暖かい空気をたっぷりと含んだようなリッチな風合いについつい心が奪われます」

「なかでもアウターは重要。冬は、ぱっと見た時の印象がアウターに左右されますよね。出かける時の気分にしてもそう。アウターについては“この冬を決めてくれる存在”だと思って、毎シーズンしっかり見極めたい。このベストは大げさではないエッジ感、モード感があるところが好き。シンプルな着こなしにも気の利いたニュアンスが加わります。色もきれいですね」

素材感やディテールにこだわる

「先にお伝えしたように、着心地のよさや素材感はとても重要。その点、このベビーカシミヤのニットとパンツは触っただけで質のよさがわかるアイテムたち。このニット、さりげないですがサイドのカッティングも素敵なんです。クオリティに加えて、そういったディテールへのこだわりも重視したいですね」

「トップスは薄手でTシャツ感覚で気軽に着こなせるうえ、1枚で着た時に背中が丸く見えないところが素敵。デザイナーさんの服づくりに、すごくこだわりのルールがあるんだろうなって。パンツはちゃんと暖かいうえに体の線を拾わない、絶妙なパターン。この2点は着て魅力が実感できるアイテムですね」

好きな色をベースにする

「ネイビーは上品で安心できる色。今回ゴールド系のジュエリーをつけたように、ネイビー×ゴールドの組み合わせは大好き。少し黄みがかった優しい色とネイビーは温度感がちょうどいいように思います」

「bororoのジュエリーは何より石が魅力的。ひと目惚れしました。また、端正で少しマニッシュなシャツだからこそ、あれくらいジュエリーを重ね付けしてもトゥーマッチにならないのかなと。遊びを許してくれるシャツですね。ごわつかない素材で着心地もすごくよかったです」

MY BEST ESCAPE

Q: これまでで最高のエスケープ先は?
「毎年必ず訪れている所へ行く以外、旅先は、その時の気持ちに引っ張られるように選びます。アンテナが反応するまま、本能的に呼ばれている場所だからか、“今”の旅はいつだって最高です。心の底から楽しんでいると思います。日常的にサーフィンをしているからそう感じるのか・・・。サーフィンって、押し寄せてくる波に乗せてもらう、そんな感覚なんです。海は常に変化していて、同じ波がまた来ることもありませんので、その時々の“今”を大切に味おうとするところがあるんですよね。サーフィンを初めて15年ほど経ちます。以来、国内の旅がぐっと増えました。サーフボードを積んで車で移動するので、道中、あちらこちらに立ち寄りながら行くのですが、日本の素晴らしいところを訪れる機会にも恵まれたことは、私にとって間違いなく大きな財産になっています。人生がより豊かになりました」
Q: エスケープに欠かせないアイテムは?
「旅行中は洋服の数が限られるので、スカーフはとても便利。夜、食事に行く際に気分を変えたい時や、寒い時にもあると重宝しますよね。これはどちらもエルメス。青いほうは藍染師の夫に染めてもらいました」

「サングラスも2〜3種類くらい、必ず旅に持っていきます。これは友人のブランド、Eva MASAKIのもの。顔周りにモード感をプラスしてくれるアイテム。シンプルな着こなしでも、これひとつで雰囲気が変わります」

PROFILE

松井陽子さん/エディター、ライター
湘南・鵠沼海岸在住。『エクラ』のファッションページなど雑誌やカタログ、広告などで活動。藍染師である夫が手がけるブランド「LITMUS Indigo Studio Japan」では商品の提案も行う。
Instagram: @yoko_matsui_0628